VOL.5
「舌の運動について」
簡単な方法なのですぐに出来ます。
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今回は最近脚光を浴びている舌の運動をご紹介します。
高齢者の施設などで展開されており、いろんな効用が最近わかってきました。
根拠 1
大脳皮質における体の支配領域についてご存じの方が多いと思いますが、圧倒的に多いのが手と顎・顔面領域です。その中でも目と口が際だっています。
このことは当然次のような結論になります。
大脳は目や口や手からおびただしい情報を常に得ている。それらのものが活動しているときには脳の血流量が増加することも確かめられています。
逆に言えば、「手習いをすれば、ぼけない。」と昔から言われていますが、同様によく噛むことが脳の活性化に一役買っていると言うことです。
口腔領域で一番めまぐるしく動いているところはどこでしょうか?
実はそれが舌なんです。根拠 2
舌骨という骨をご存じでしょうか。のど仏の所にあります。
指を当てて唾を飲み込むとここが上下するのがよくわかると思います。
舌骨は体の中で唯一どの骨ともつながっていない特殊な骨です。
舌骨上筋群・下筋群といういくつもの筋肉とのみつながっており、嚥下や発音など複雑な動きをする上で大変重要な役割をしています。さすがにゆりかごのおやじの会ではろれつが回らなくなるほど酔っぱらう方はおりませんが。根拠 3
以前もちょっと触れましたが、新生児期〜乳幼児期にかけて舌の果たす役割は大変なものがあります。目と共に外界を認識する重要な感覚器の一つです(というか目がはっきり見える前には最大の感覚器でしょう)。
そして離乳期、舌の動きが発達するにつれて顔面筋が発達し愛くるしい顔の表情が現れてきます。舌の体操
以上を1セットとして、4〜8セットを5分間で行うことを目安として下さい。
その時、瞼をぱっと開けたり閉めたりすることによって、顔の筋肉を動かし顔全体のマッサージを行います。(フェイス・エステというのもありますね)。
あと自分がどちら側で噛むことが多いか確認し、噛んでいない方に舌を動かすことをより多く行って下さい。
一通りの体操が終わったら、「はひふへほ」「らりるれろ」「チーズ、キムチ、ウイスキー」などを一語一語しっかりと発音します。効果 1
発音が明瞭になる(歌を唄っている方など特に役立ちます)。
効果 2
摂食・嚥下 機能の回復に役立つ(脳卒中の後遺症の方など)。
効果 3
唾液の分泌が増える(2〜3倍になることもあり、口腔乾燥でお悩みの方には絶対によいと思います)。
そのため口の中が清潔になり、歯周病や入れ歯の傷が出来にくくなる。
効果 4
顎の舌や首のダイエット(これは朗報かも)。※ 以上は‘ゆほびか’1998年12月号、「舌の体操」初公開(はくた ちよこ)を参考にしています。
写真3枚はちょっと主旨が違いますが、それぞれ
1 舌小帯(舌の下のすじ)のつきかたの異常で、舌の運動が妨げられている例。 2 簡単な小手術で切り離して、動きを保証したあと(リハビリ必要)。 3 噛み締めの強い患者さんの舌。とくに片方で噛んでいる方が緊張で萎縮している。